土地改良事業に関する相談及び助言・指導をおこなっています。

土地改良法が平成13年度に改正されていますが、その背景と趣旨はどのようなものですか。
 
 

今回の改正は、次の4つの社会情勢に対処したものです。

@ 土地改良事業の実施に当たって環境との調和への配慮が求められている。
A 農村の混住化が進み非農家が多数を占める農村へと変貌する中、事業の円滑な実施には地域全体の理解が必要となっている。
B 食料の安定供給・農業の持続的発展のためには、これまで造成された施設の適正な維持・更新が重要となっている。
C 公共事業の効率的・効果的な実施が求められている。

「環境との調和への配慮」とは、具体的にどのようなことをいうのですか。
 
  「環境との調和への配慮」とは、農業の生産性の向上等、土地改良事業の本来の目的達成に支障を及ぼさない範囲で、可能な限り環境への負荷を「回避」したり、「最小化」、「軽減」等の措置を講ずることです。
具体的な例としては、用水路の改修に当たって魚巣ブロックなどを設置することなどが行われます。

農業用楊排水施設の定期的、かつ小規模な補修整備である土地改良施設維持管理適正化事業を実施する場合にも、田園環境整備マスタープランに従う必要があるのでしょうか。
 
  土地改良施設維持管理適正化事業は、既存の土地改良施設の整備補修を内容とするものですから、その実施が生態系に与える影響は建設事業に比べて総体的に小さいものと考えられますが、工事を内容とする事業という点では同様ですから、関係市町村が作成する田園環境整備マスタープランの内容を踏まえて実施する必要があります。

土地改良法第1条2項で記載されている、環境との調和への配慮の結果、事業費の増大をもたらすことが予想されますが、その費用は農家も負担するのですか。また、費用対効果の算定は当該事業費を基礎に行われるのですか。
 

   環境との調和に配慮することによって必ずしも事業費や農家負担が増大するものではありませんが、環境との調和への配慮に必要な費用も含めて事業費として計上されますから、これらの費用は国、県、市町村、農家とうい費用負担者全員で負担することになります。また、費用対効果の算定においてもこれらの費用を基礎に行われることとなります。
なお、国では、環境との調和に配慮した一定の事業については、農家負担の軽減に配慮した事業制度が用意されているほか、地方財政措置の充実が図られたりしています。

従来、土地改良法第5条3項で謳われていた「市町村長の意見聴取」を「市町村長との協議」とした背景・理由は何ですか。
 
  これまでは土地改良事業と市町村の定める農業振興地域整備計画に基づく施策などとの整合性を確保するとの観点から、事業の開始に先立って市町村長の意見聴取が行われてきました。しかし、農村における混住化の進展により、土地改良事業が非農家に与える影響が大きくなるとともに、事業実施を契機として市町村により親水公園の整備が行われるなど、土地改良事業における市町村の役割が高まっています。このため、地域の特性を踏まえた事業実施の要請に応じ、地域の意向をより一層踏まえて事業が実施されるよう、市町村を意見聴取の対象から協議の対象に高め、市町村が事業計画の作成過程により深く関与することを促すものです。

国・県が行う土地改良事業で、土地改良法第85条7項に定められている、意見書提出制度(地域住民の意見)を導入する主旨は何ですか。
 
  近年、土地改良事業、中でも規模の大きい国県営事業については、農村における混住化が進み価値観が多様化する中で地域全体の合意形成が難しくなってきています。このような状況の下で、できるだけ初期の段階で事業に対し意見がある者の考えを把握し、可能なものはそれを取り込みつつ計画概要を策定する仕組みを設けることにより、関係農家、関係住民ひいては国民によってより望ましい事業計画とし、円滑な事業実施を通じて事業効果の早期発現が期待されているものです。


市町村営事業の賦課金の徴収について、新たに土地改良区ルートを可能とした理由はなんですか。
 
  近年、市町村が土地改良施設の維持管理を行うという事例が増加してきており、国や都道府県が管理する基幹的な施設から土地改良区が管理する末端水路までの一連の管理体系の中に、市町村が管理する施設が存在する場合、国、都道府県及び土地改良区が管理している土地改良施設の経費は、土地改良区が徴集することができますが、市町村が管理する施設については、市町村自らが徴収するしかなかったので、これを一元化し、負担金徴収の効率化を図ったものです。


これまでの員外受益者賦課制度と今回の改正による特定受益者賦課制度とは、具体的にどのように違うのですか。
 
  今回の改正では、これまでの員外受益者と称していたものを特定受益者と改められましたが、土地改良区の組合員以外の者で土地改良区の行う土地改良事業により利益を受けているものに対し、都道府県知事の認可を受けて、経費の一部を徴収できる点では変わりません。
これまで特定受益者との事前調整を行うことなく知事の認可を得て強制的な賦課調整を認めていたものを、特定受益者や関係市町村長の意見を事前に求めることとするなど、その手続きの透明性が高められています。

土地改良法に基づく換地処分により創設農用地を地区外の認定農業者等が直接する場合の取得者の要件は何ですか。
 
  農業経営基盤強化促進法18条第3項の要件と同様であり以下のとおりです。
@ 取得する創設農用地も含めて、使用収益する権利を有しているすべての農用地について耕作すると認められること。
A 耕作に必要な農作業に年間150日以上従事すると認められること。
B 取得者の農業経営の状況、住所地等からみて創設農用地を効率的に利用して耕作できると認められること。

 

 

 

第一条(土地改良法の目的及び原則)

 この法律は、農用地の改良、開発、保全及び集団化に関する事業を適正かつ円滑に実施するために必要な事項を定めて、農業生産の基盤の整備及び開発を図り、もつて農業の生産性の向上、農業総生産の増大、農業生産の選択的拡大及び農業構造の改善に資することを目的とする。2 土地改良事業の施行に当つては、その事業は、国土資源の総合的な開発及び保全に資するとともに国民経済の発展に適合するものでなければならない。
第二条(定義)
 この法律において「農用地」とは、耕作の目的又は主として家畜の放牧の目的若しくは養畜の業務のための採草の目的に供される土地をいう。
 
 この法律において「土地改良事業」とは、この法律により行なう次に掲げる事業をいう。

 農業用用排水施設、農業用道路その他農用地の保全又は利用上必要な施設(以下「土地改良施設」という。)の新設、管理、廃止又は変更(あわせて一の土地改良事業として施行することを相当とするものとして政令で定める要件に適合する二以上の土地改良施設の新設又は変更を一体とした事業及び土地改良施設の新設又は変更(当該二以上の土地改良施設の新設又は変更を一体とした事業を含む。)とこれにあわせて一の土地改良事業として施行することを相当とするものとして政令で定める要件に適合する次号の区画整理、第三号の農用地の造成その他農用地の改良又は保全のため必要な事業とを一体とした事業を含む。)
 区画整理(土地の区画形質の変更の事業及び当該事業とこれに附帯して施行することを相当とする次号の農用地の造成の工事又は農用地の改良若しくは保全のため必要な工事の施行とを一体とした事業をいう。)
 農用地の造成(農用地以外の土地の農用地への地目変換又は農用地間における地目変換の事業(埋立て及び干拓を除く。)及び当該事業とこれに附帯して施行することを相当とする土地の区画形質の変更の工事その他農用地の改良又は保全のため必要な工事の施行とを一体とした事業をいう。)
 埋立て又は干拓
 農用地又は土地改良施設の災害復旧
 農用地に関する権利並びにその農用地の利用上必要な土地に関する権利、農業用施設に関する権利及び水の使用に関する権利の交換分合
 
その他農用地の改良又は保全のため必要な事業