農地や道水路をより使いやすくするための大規模な土地改良工事が行われることによって、工事前後で所有地の位置や形が変わるため、法務局で管理されている地図や登記簿と合わなくなってしまいます。それを私が担当している「換地」という特別な手法を使えば一括で処理することができます。
換地の仕事の特徴は、農家の方との関わりが多いことと、法務局などへの調査が多いことです。農家の方と一緒に相談しながら、最善の方法を探していきます。法務局では、土地の登記簿や公図などの調査を行います。時には古い書類を延々と遡り、場合によっては法務局の書庫の奥深くに保管されている和紙に描かれた明治時代の切り図を調べることもあります。こうして農家の方々の希望を可能な限り実現できるよう、法律などの知識や経験を駆使して、何度も提案・修正を繰り返し、最終的には「換地計画書」というものを完成させます。
換地はだいたい5年くらいをかけて事務を進めていくので、1つの案件に長く携わることが多い業務です。 また、その他にも「換地」から得たスキルを活かして、登記資料を作成する業務や、財産を譲与するための資料作成なども行っています。
換地は、地元の農家の方々とのやりとりが特に多い仕事です。農家の方が伝えたいと思っていることを推し量りながら、土地や農業への想いを受け止めます。農家の方の疑問やご要望に対してピッタリの回答ができた時は嬉しいですね。関係する方々との地道なコミュニケーションの積み重ねで、ようやく形になる仕事です。さらに、登記するための資料を作成して、それがそのとおりに法務局で登記がされた時は、自分が作ったものが形になったという達成感があります。
また、この「換地」という業務は、県内では水土里ネット岡山でしか行っていません。土地改良法をはじめ様々な法律に関わる内容なので、行政や地元農家からとても頼りにされています。地域の農業に少しでも貢献できたと感じられることが、この仕事の大きな魅力です。
農地の整備は何十年も前から行われていますが、新しいところを整備するだけでなく、過去に整備された農地であっても、後継者不足など様々な理由から、自分で作付けできなくなった農地を担い手農家に貸し出すために再び整備することもあります。「換地」は農業をする人がいる限り必要な仕事だと思っています。
専門的な力を積み重ねられることが当会の大きな魅力です。私は大学で英語を専攻していましたし、前の職場では営農指導員という資格を取得しましたが、どちらも現在の業務にはあまり活用できていません。やる気だけを持って水土里ネット岡山に入会したので、「換地」については全くの初心者でした。 農地や法律に関する知識が必要なため、最初は右も左も分からず戸惑いましたが、今では大抵のことは自分で答えられるようになりました。
なお、換地業務を行うためには「土地改良換地士」という国家資格が必要です。私は日々の業務を通して知識と経験を積むことで、6年目にこの資格を取得しました。この換地業務に限らず、当会は仕事をすることで確実に専門的な能力の向上に結びつき、様々な資格取得にもつながる職場だと思います。
さらに充実した福利厚生も魅力です。計画的に休みを取得できますし、産休・育休もしっかりと2回取得させていただきました。子育てに理解があり、また業務外のイベントなどを通して課を超えて人間関係を築ける職場です。今はまだ男性の方が多いので、是非、女性の方にも積極的に入会していただきたいですね。
大量の書類を扱う仕事なので、自分の机や他の人との共有スペースの整理整頓を徹底することで、頭の中も整理でき、作業効率も上がります。そうやって仕事に追われるのではなく、追うように心がけています。けれども何より大きいのは農業への思いです。この思いが、仕事やスキルアップの原動力です!